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【い】
≪引用≫
 著作権の制限規定の一つです(第32条)。 例えば学術論文を創作する際に自説を補強等するために、自分の著作物の中に、公表された他人の著作物を掲載する行為をいいます。

 引用と言えるためには、
 @引用する資料等は既に公表されているものであること
 A「公正な慣行」に合致すること
 B報道、批評、研究などのための「正当な範囲内」であること
 C引用部分とそれ以外の部分の「主従関係」が明確であること
 Dカギ括弧などにより「引用部分」が明確になっていること
 E引用を行う必然性があること
 F出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があるとき)(第48条)
の要件を満たすことが必要です(第32条第1項)。

 また、国、地方公共団体の機関、独立行政法人等が作成する「広報資料」、「調査統計資料」、「報告書」等の著作物については、
 @一般への周知を目的とした資料であること
 A行政機関等の著作名義の下に公表した資料であること
 B説明の材料として転載すること
 C「転載禁止」などの表示がないこと
 D出所の明示が必要なこと(複製以外はその慣行があるとき)(第48条)
の要件を満たした場合は、刊行物への大幅な転載が認められています(第32条第2項)。


【え】
映画製作者
 映画の著作物の製作に発意と責任を有する者(第2条第1項第10号)のことを指し、例えば劇映画であれば、通常映画会社のことをいいます。著作権法では、映画の著作物の著作者は、「プロデューサー」、「監督」、「撮影監督」等の映画の著作物の「全体的な形成に創作的に寄与した者」と定めています(第16条)が、著作権は、著作者ではなく、映画製作者に帰属することになっています(第29条)。
映画の著作物
 映画館で上映される「劇映画」が典型的なものですが、著作権法では、「映画の効果に類似する視覚的又は聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含む」と定義し(第2条第3項)、映画の概念を広く捉えています。映画の著作物の例としては、例えば、テレビドラマ、コマーシャルフィルム、ホームビデオで撮影した影像なども、これに含まれます。また、判例により、ゲームソフトの映像部分も映画の著作物と取り扱われています。
映画の著作物の著作権の帰属
 「映画の著作物」については,「プロデューサー」,「監督」,「撮影監督」,「美術監督」など,映画の著作物の「全体的形成に創作的に寄与した者」が著作者となります。

 映画の原作,脚本などの著作者や映画音楽などのように,映画の中に「部品」などとして取り込まれている著作物の著作者は,全体としての「映画」の著作者ではありません (映画をコピーするときには,これらの「部品」なども同時にコピーされるため,これらの人々の了解も得ることが必要) (第16条)。

 なお,映画の著作物については,「著作者の権利」のうち「財産権」の部分が,自動的に監督等の著作者から映画会社(映画製作者)に移ることとされています(第29条)。

 具体的には,次のようになります。

(a) 個人が自分だけで「映画の著作物」を創った場合,その人が著作者となり,「著作者の権利」の全部(「著作者人格権」「財産権」)を持つことになります。
(b) 映画会社が,社員だけで「映画の著作物」を創った場合,「法人著作」となり,映画会社が「著作者の権利」の全部(「著作者人格権」及び「財産権」)を持つことになります。
(c) 映画会社が,外部の映画監督等に依頼して「映画の著作物」を創った場合,映画の著作物については,「著作者の権利」のうち「財産権」の部分が,自動的に監督等の著作者から映画会社に移ることとされており(第29条),このため,映画会社が「財産権」を持ち,監督等は「著作者人格権」のみを持つことになります。

映画の著作物の著作者
 「映画の著作物」については,「プロデューサー」,「監督」,「撮影監督」,「美術監督」など,映画の著作物の「全体的形成に創作的に寄与した者」が著作者となります。

 映画の原作,脚本などの著作者や映画音楽などのように,映画の中に「部品」などとして取り込まれている著作物の著作者は,全体としての「映画」の著作者ではありません (映画をコピーするときには,これらの「部品」なども同時にコピーされるため,これらの人々の了解も得ることが必要) (第16条)。

 なお,映画の著作物については,「著作者の権利」のうち「財産権」の部分が,自動的に監督等の著作者から映画会社(映画製作者)に移ることとされています(第29条)。

映画の著作物の保護期間
 映画の著作物の保護期間は、公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは,創作後70年)です(第54条)。また、期間の計算は暦年計算で、公表された年の翌年の1月1日から起算します。例えば2004年1月12日に公開された映画の保護期間は、2004年に70年を加えた2074年12月31日までということになります。なお、映画の著作物は、旧著作権法の時代から現在にいたるまで、数回保護期間を延長しております(最新改正、平成16(2004)年1月から、公表後50年から公表後70年に延長)。保護期間が延長される際に、延長前に既に著作権が消滅していると著作権は復活しないという調整措置が行われているので、保護期間の計算には注意が必要です。
営利を目的としない上演等
 著作権の制限規定の一つです(第38条)。複製以外の方法により著作物を利用する場合において、著作権者の了解が必要ないときの要件を定めています。著作物の利用方法に応じ次のような要件が満たされた場合は、著作権者の了解は必要ありません。

1 学校の学芸会,市民グループの発表会,公民館・図書館等での上映会など(第38条第1項)
【条件】
ア 「上演」「演奏」「口述」「上映」のいずれかであること(「コピー・譲渡」や「公衆送信」は含まれない)
イ 既に公表されている著作物であること
ウ 営利を目的としていないこと
エ 聴衆・観衆から料金等を受けないこと
オ 出演者等に報酬が支払われないこと
カ 慣行があるときは「出所の明示」が必要(第48条)

2 「非営利・無料」の場合の「放送番組の有線放送」(第38条第2項)
  「難視聴解消」や「共用アンテナからマンション内への配信」など,放送を受信して直ちに有線放送する場合の例外です。
【条件】
ア 営利を目的としていないこと
イ 聴衆・観衆から料金を受けないこと

演奏
 著作権法上、演奏には、音楽を楽器を用いて表現する「演奏」だけでなく、音楽を人の声音によって表現する「歌唱」が含まれることになっています(第2条第1項第16号)。

 また、「演奏」には、原則として、録音されまたは録画された演奏を再生することや同一の敷地・建物内における有線設備を用いた演奏の伝達が含まれます(第2条第7項)。


【お】
≪公の伝達≫
 公衆送信された著作物を、テレビなどの受信装置を使って公衆(不特定又は特定多数)向けに伝達する(公衆に見せたり聞かせたりする)ことです。なお、例えば、テレビ受信装置を使って映画のDVDを公衆に見せるような場合は、公衆送信された著作物の再生ではないので、外形的には同じ行為のように見えますが、著作権法上は、公の伝達ではなく、著作物の公の上映に該当することになります(第2条第7項)。
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【か】
≪学校その他の教育機関による送信≫
 著作権の制限規定の一つです(第35条第2項)。 学校・公民館などで,「主会場」での授業が「副会場」に同時中継(公衆送信)されている場合に,主会場で用いられている教材等を,副会場(公衆)向けに送信する場合の例外です。

【条件】
ア 営利を目的とする教育機関でないこと
イ 「主会場」と「副会場」がある授業形態であること
  (「放送大学」など,主会場がなく遠隔地への送信のみによって行われる授業は対象外)
ウ その教育機関で「授業を受ける者」のみへの送信であること
  (「放送大学」など,登録された学生でなくても「誰でも視聴できる」ような場合は対象外)
エ 生で中継される授業を受信地点で「同時」に受ける者への送信であること
  (「放送大学」など,「いったん録画された授業」を後日送信している場合は対象外)
オ 主会場での教材として,配布,提示,上演,演奏,上映,口述されている著作 物であること
カ 既に公表されている著作物であること
キ その著作物の種類や用途,送信の形態などから判断して,著作権者の利益を不 当に害しないこと(ソフトウェアやドリルなど,個々の学習者が購入することを 想定して販売されているものを送信すること,授業終了後も,その授業を受けていた学習者が利用できるような形で,著作物をホームページ等に掲載すること等は対象外)
ク 慣行があるときは「出所の明示」が必要(第48条)

≪学校その他の教育機関による複製等≫
 著作権の制限規定の一つです(第35条第1項)。学校・公民館などで教員等や授業を受ける者(学習者)が教材作成などを行うためにコピーする場合の例外です。インターネットを通じて得た著作物をダウンロードしたり,プリントアウト・コピーして教員等が教材作成を行ったり,学習者が教材としてコピーしたものを他の学習者に配布して使うような場合にも,この例外は適用されます。

【条件】
ア 営利を目的とする教育機関でないこと
イ 授業等を担当する教員等やその授業等を受ける学習者自身がコピーすること(指示に従って作業してくれる人に頼むことは可能)
ウ 授業の中でコピーする本人が使用すること
エ 必要な限度内の部数であること
オ 既に公表されている著作物であること
カ その著作物の種類や用途などから判断して,著作権者の利益を不当に害しないこと(ソフトウェアやドリルなど,個々の学習者が購入することを想定して販売されているものを複製する場合等は対象外)
キ 慣行があるときは「出所の明示」が必要(第48条)


【き】
≪技術的保護手段≫
 電磁的方法により、著作権等を侵害する行為の防止又は抑止をする手段で、著作物等の利用に際して用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物等とともに記録媒体に記録し、又は送信する方式によるものを言います(第2条第1項第20号)。技術的保護手段のうち、無断複製を防ぐものを「コピープロテクション」と呼ぶこともあります。なお、技術的保護手段を回避して(又は回避されていることを知りつつ)行う複製は、例え使用目的が「私的使用」であっても、権利者の経済的損失を多大なものとするおそれがあることから、権利者の了解なしにはできないことになっています(第30条第1項第2号)。また、技術的保護手段の回避を行う装置やプログラムを販売や、貸与したり、販売・貸与目的で製造、輸入、所持した者、及び客の要請に基づき技術的保護手段の回避を行った事業者は、社会正義に反する行為を行った者として、罰則の適用があります(第120条の2)。
≪教科用拡大図書等の作成のための複製≫
 著作権の制限規定の一つです(第33条の2)。弱視の児童又は生徒のために,既存の検定教科書の文字や図形を拡大して,いわゆる「拡大教科書」を作成するためにコピーする場合の例外です。

【条件】
ア 教科書に掲載された著作物であること
イ 弱視の児童生徒用であること
ウ 教科書の「全部」又は「相当部分」を複製する場合は,教科書発行者に通知すること。なお,「営利目的」の作成の場合は,文化庁長官が定める「補償金」を著作権者に支払うこと
エ 「出所の明示」が必要(第48条)

≪共同著作物≫
 二人以上の者が共同して創作した著作物であって,その各人の寄与分を分離して個別に利用できないものを「共同著作物」と呼びます(第2条第1項第12号)。具体的には,誰がどこを分担すると決めずに共同で書いた場合など,それぞれの人が書いた(創作した)部分を明確に区別できない場合のことです。ただし,第1章は誰,第2章は誰と分担するところを定めて書いた場合はこれに当てはまりません。

 共同著作物の場合は,原則として,全員の合意によりその権利を行使することとされています(第65条第2項)。なお,この場合,当該著作権を代表して行使する者を定めることができます。また,著作権の保護期間は,最後に死亡した著作者の死亡時から起算されます(第51条第2項)。


【け】
≪刑事上の対抗措置≫
 著作権等の侵害は「犯罪行為」であり,権利者が「告訴」を行うことを前提として,「5年以下の懲役」又は「500万円以下の罰金」(懲役と罰則の併科も可)という罰則規定が設けられています(第119条第1号)。また、企業などの法人等による侵害(著作者人格権や実演家人格権の侵害を除く)の場合には,「1億5千万円以下の罰金」とされています。

 この他,次のような行為についても,それぞれ刑事上の罰則が定められています。

ア 営利を目的として,「公衆向けのダビング機」を設置し,音楽CDのコピーなど(著作権の侵害となること)に使用させること(第119条第2号)。
  → 「5年以下の懲役」又は「500万円以下の罰金」(懲役と罰則の併科も可)(親告罪)
イ 小説などの原作者(著作者)が亡くなった後に,その小説の内容を勝手に変えてしまったり,原作者名を変えてしまうこと(第120条)。
  → 500万円以下の罰金(非親告罪)

≪言語の著作物≫
 日本語、英語などの言語によって表現された著作物のこと言います。例えば、小説、脚本、論文、講演、詩、短歌、俳句、演劇台本などがこれに当たります。
≪権利の目的とならない著作物≫
 次のような著作物については,その性質から著作権が及ばないこととされています(第13条)。

(イ) 憲法その他の法令(地方公共団体の条例,規則を含む。)
(ロ) 国や地方公共団体又は独立行政法人・地方独立行政法人の告示,訓令,通達など
(ハ) 裁判所の判決,決定,命令など
(ニ) (イ)から(ハ)の翻訳物や編集物(国,地方公共団体又は独立行政法人・地方独立行政法人が作成するもの)


【こ】
≪公開の美術の著作物等の利用≫
 著作権の制限規定の一つです(第46条)。一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置されている「美術品」や「建築の著作物」を利用する場合の例外で、以下の場合を除き、自由に利用できることとされています。

【条件】
次のいずれにも該当しないこと
ア 「彫刻」を増製するような場合
イ 全く同じ「建築の著作物」を建設する場合
ウ 一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置するためにコピーする場合
エ 「美術品」についてコピーの販売を目的とする場合
オ 慣行があるときは「出所の明示」が必要(第48条)

≪公衆≫
 著作権法での「公衆」とは,「不特定の人」又は「特定多数の人」を意味します(第2条第5項)。

 相手が「ひとりの人」であっても,「誰でも対象となる」ような場合は,「不特定の人」に当たりますので,公衆向けになります。例えば,「上映」について言うと,1人しか入れない電話ボックス程度の大きさの箱の中でビデオを上映している場合,「1回に入れるのは1人だが,順番を待って100円払えば誰でも入れる」というときは「公衆向けに上映した」ことになります。 また,「送信」について言えば,ファックス送信などの場合,1回の送信は「1人向け」ですが,「申込みがあれば『誰にでも』送信する」というサービスを行うと「公衆向けに送信した」ことになります(これを自動的に行っているのがサーバーなどの自動公衆送信装置)。

 さらに,1つしかない複製物を「譲渡」「貸与」するような場合,「特定の1人」に対して,「あなたに見て(聞いて)欲しいのです」と言って渡す場合は「公衆」向けとはなりませんが,「誰か欲しい人はいませんか?」と言って希望した人に渡した場合は,「不特定の人」=「公衆」向けということになります。

 「特定多数の人」を「公衆」に含めているのは,「会員のみが対象なので,不特定の人向けではない」という脱法行為を防ぐためです。何人以上が「多数」かはケースによって異なると思われますが,一般には「50人を超えれば多数」と言われています。

 「不特定」でも「特定多数」でもない人は「特定少数の人」ですが,例えば「電話で話しているときに歌を歌う」とか「子どもたちが両親の前で劇をする」といった場合がこれに当たり,こうした場合には著作権は働きません。

≪公衆送信≫
 公衆によって直接受信されることを目的として無線通信又は有線電気通信の送信を行うことをいいます(第2条第1項第7の2号)。公衆送信は、その利用形態によって、放送や有線放送のように同一の内容を同時に公衆へ送信する形態のもの(第2条第1項第8号、第2条第1項第9号)と、インターネット送信のように利用者のリクエストに応じて送信する形態の2つに大別されます。また後者は、更にホームページに掲載された情報が利用者の求めに応じ送信されるように送信行為が自動的に行われるものを「自動公衆送信」(第2条第1項第9の4号)と呼び、ファックス送信のように利用者の求めに応じ手動で送信する場合と区別しています。これは、自動公衆送信については、ホームページに情報を掲載している状態すなわち利用者の求めがあればいつでも送信できる状態に置くことを「送信可能化」(第2条第1項第9の5号)の状態とし公衆送信の概念に含めているからです。したがって、権利者側から見れば、自分の著作物がホームページに掲載されている状態をもって公衆送信権(第23条第1項)侵害を主張できるため、送信行為があったことの立証負担が軽減されることになります。

 なお、同一の建物内や敷地内で有線電気設備を用いて送信する行為は、コンサート会場でのマイク設備を用いて行う送信等とのバランスを考慮し、プログラムの著作物を除き公衆送信には該当せず、例えば音楽の演奏、脚本の上演、映画の上映、本の口述に該当することになっています。

≪公衆送信権≫
 公衆送信権は,著作物を公衆向けに「送信」することに関する権利(第23条)であり,公衆向けであれば,無線・有線を問わず,あらゆる送信形態が対象となります。具体的には,次のような場合が含まれます。

(a) テレビ,ラジオなどの「放送」や「有線放送」
(著作物が,常に受信者の手元まで送信されているような送信形態)
(b) インターネットなどを通じた「自動公衆送信」
(受信者がアクセスした(選択した)著作物だけが,手元に送信されるような送信形態。受信者が選択した著作物を送信する装置(自動公衆送信装置=サーバーなど)の内部に著作物が蓄積される「ホームページ」のような場合と,蓄積されない「ウェブキャスト」などの場合がある)
(c) 電話などでの申込みを受けてその都度手動で送信すること
(ファックスやメールを用いるもの。サーバー等の機器によってこれを自動化したものが (b)の場合。)

上記(b)の場合,この権利は,サーバー等の「自動公衆送信装置」からの「送信」だけでなく,その前段階の行為である,「自動公衆送信装置」への「蓄積」(いわゆるアップロード)や「入力」(ウェブキャストなど蓄積を伴わない場合)などにも及びます。こうした行為により,蓄積・入力された著作物は,「受信者からのアクセス(選択)があり次第『送信』され得る」という状態に置かれるため,これらの行為は「送信可能化」と総称されています。

 つまり,無断で「送信可能化」すると,まだ,受信者への送信が行われていなくても,権利侵害となるわけです。

 また,この公衆送信権は,学校内などの「同一の構内」においてのみ行われる「送信」は,プログラム以外は対象とはなりません。ただし、校内LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)を使う場合は,サーバー等に「コピー」ができますので,コピーすることについて著作権者の了解を得ることが必要となります。

≪口述≫
 朗読その他の方法により著作物を口頭で伝達することをいい(第2条第1項第18号)、例えば朗読会や講演会における読み手や講師の口述が該当します。ただし、実演に該当するものは含まれませんので、例えば演劇に出演中の俳優が脚本の台詞を言うのは口述には該当しないことになります。
≪口述権≫
 「言語の著作物」を,朗読などの方法により口頭で公衆に伝達することに関する権利です(第24条)。「口述」には,CDなどに録音された著作物を再生することや,著作物の口述を離れた場所にあるスピーカー等に送信して伝達することも含まれます。 
≪公表≫
 著作権法上の公表概念は、社会通念の公表とは少し異なっており、著作物が、権利者の了解の下に、発行され、又は上演、演奏、上映、公衆送信、口述若しくは展示の方法で公衆に提示された場合を言います(第4条)。したがって、権利者に無断で出版された場合は例え何万部が市場に配布されているとしても公表されたことになりません。また、公表は基本的には著作権が及ぶ利用形態によって公衆に提示・提供される必要がありますので、小説の原稿を誰でも読めるところに置いておいても公表とはいいません(展示権は美術と写真の著作物に限られた権利です)。
≪公表権≫
 著作者人格権の一つで、まだ公表されていない自分の著作物について,それを「公表するかしないかを決定できる権利」(無断で公表されない権利)です(第18条)。 ただし,「未公表の著作物」の「著作権 (財産権)」を譲渡した場合や,「美術の著作物の原作品」や「写真の著作物で未公表のものの原作品」を譲渡した場合などには,著作物の公表に同意したものと推定されます。
≪国際著作権条約≫
 著作権及び著作隣接権に関する国際条約を総称していいます。

 具体的には、ベルヌ条約、万国著作権条約、実演家等保護条約(ローマ条約)、レコード保護条約、TRIPS協定、著作権に関する世界知的所有権機関条約(WIPO著作権条約)、実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約(WIPO実演・レコード条約)があります。

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【し】
≪聴覚障害者のための自動公衆送信≫
 著作権の制限規定の一つです(第37条の2)。 聴覚障害者情報提供施設の設置者など聴覚障害者の福祉の増進を目的とする事業を行う者で政令(施行令2条の2)で定めるものは、専ら聴覚障害者のために放送番組の音声内容を字幕化し、放送とは別にリアルタイムでコンピュータ・ネットワークを通じ提供すること(リアルタイム字幕)を、著作権者の了解なしに行うことができます。
≪試験問題としての複製等≫
 著作権の制限規定の一つです(第36条)。著作物の複製と公衆送信について例外が定められていいます。

1 「入学試験」、「検定試験」などの問題として著作物を複製する場合の例外です。
【条件】
ア 既に公表されている著作物であること
イ 試験・検定の目的上必要な限度内であること
ウ 「営利目的」の試験・検定の場合は著作権者に「補償金」を支払うこと
エ 慣行があるときは「出所の明示」が必要(第48条)

2 「入学試験」、「検定試験」などの問題(著作物)をインターネットなどで送信する場合の例外です。
【条件】
ア 既に公表されている著作物であること
イ 試験・検定の目的上必要な限度内であること
ウ 「営利目的」の試験・検定の場合は著作権者に「補償金」を支払うこと
エ その著作物の種類や用途,送信の形態などから判断して,著作権者の利益を不 当に害しないこと(ヒアリング試験用のテープなど,各試験会場でそれぞれ購入 することを想定して販売されているものを送信すること,誰でも回答者として参 加できるような形で送信すること等は対象外)
オ 慣行があるときは「出所の明示」が必要(第48条)

≪事実の伝達にすぎない雑報等≫
 人事異動、死亡記事、お知らせ記事など、いつ、どこで、誰が、何をしたかという事実のみで構成された雑報や時事の報道のことをいいます。著作権法では、これらのものは著作物に該当しないことを、確認的に規定しています(第10条第2項)。
≪実演≫
 著作隣接権の保護の対象です。実演とは、 「著作物を,演劇的に演じ,舞い,演奏し,歌い,口演し,朗詠し,又はその他の方法により演じること」や,「著作物以外のものを演じる場合で芸能的な性質を有するもの」のことをいいます(第2条第1項第3号)。

 著作物以外のものを演じる場合で芸術的な性質を有するものとは、具体的には奇術、曲芸、手品、物真似などのことです。なお、体操の「床運動」や,「フィギュアスケート」の演技などは,「競技」として行われるもので、「芸能」ではないので,実演ではありませんが、同じような行為でもアクロバットショーやアイススケートショーのように、観客向けのショーとして行われるものは実演になります。

≪実演家≫
 実演を行った者(俳優,舞踊家,歌手など),実演を指揮した者又は実演を演出した者をいいます(第2条第1項第4号)。
≪実演家人格権≫
 実演家の人格的利益を守る権利です。平成14(2002)年の改正で追加されました。 著作者人格権は,「公表権」(第18条)、「氏名表示権」(第19条)及び「同一性保持権」(第20条)の3つの権利がありますが,実演家人格権は,「氏名表示権」(第90条の2)、「同一性保持権」(第90条の3)の2つの権利となっており,実演家には「公表権」が付与されていません。これは,実演が行われる際には,公表を前提として行われることが多いことによるものです。

ア 氏名表示権

 自分の実演について,実演家名を表示するかしないか,表示するとすればその実名か変名(芸名等)かなどを決定できる権利です(第90条の2)。
  ただし,実演の利用の目的及び態様に照らして,「実演家の利益を害するおそれがないとき」又は「公正な慣行に反しないとき」は,実演家名を省略することができます。例えば,BGMとして音楽を利用する場合に,氏名表示を省略することがこれに当たります。

イ 同一性保持権

 自分の実演について,無断で名誉声望を害するような改変をされない権利です(第90条の3)。
  著作者の同一性保持権の場合は,著作者の意に反する改変のすべてについて権利が及びますが,実演家の同一性保持権は名誉声望を害するような改変のみに権利が及んでおり,侵害があった場合には,権利者である実演家が名誉声望を害されたということを立証しなければなりません。
  また,実演の性質やその利用の目的・態様に照らして,「やむを得ない」と認められる場合や,「公正な慣行に反しない」場合は,除かれます。例えば,ある映画を放送する場合に,放送時間に適合するように再編集するようなことが,これに当たります。

≪実演家人格権の一身専属性≫
 実演家は,実演家の人格的利益(精神的に「傷つけられない」こと)を保護するための実演家人格権を有していますが、この権利は、人格権という権利の性格上、実演家の一身に専属するものであり、他人に譲渡することはできません(第101条の2)。

 なお、この権利は実演家の死亡と同時に消滅しますが、実演家の死亡後も原則として実演家人格権の侵害となる行為をしてはならないとされています(第101条の3)。

≪実演家の権利≫
 実演家には,実演家の人格的利益(精神的に「傷つけられない」こと)を保護するための実演家人格権と,財産的利益(経済的に「損をしないこと」)を保護するための「財産権」の二つがあります。

 これらのうち,財産権については,「生の実演」と「レコードに録音された実演」と映画,放送番組,ビデオなどの「映画の著作物に録音・録画された実演」について分けて考えると理解しやすいでしょう。例えば,「映画の著作物に録音・録画された実演」の場合,俳優などの実演家の了解を得て録音・録画された実演は,原則として,以後の利用について権利が働きません(第91条第2項,第92条第2項,第92条の2第2項)。また、財産権は基本的には許諾権(著作隣接権)ですが、「レコードに録音された実演」のうち、市販用の音楽CD等の放送及び有線放送、発売後1年を経過した音楽CD等の貸与については、許諾権ではなく(利用させるかさせないかという決定権はない)、利用された場合は使用料を請求できるという報酬請求権です。権利内容の詳細については、文化庁ホームページに掲載されてある著作権テキストを参照してください。

 なお、実演家の権利は、著作物の場合と同様、実演を行ったときに、登録等の何らの方式を要さず自動的に権利が発生します(無方式主義)。また、保護期間は、実演を行ったときから50年までで、期間の計算は暦年計算で、実演を行った年の翌年の1月1日から起算します。

≪実演家の録音権・録画権≫
 実演家の録音権・録画権(第91条)の内容は、利用形態に分けて説明すると次のようになります。

(ア)生の実演
    自分の「生の実演」を,ディスク,テープ,フィルムなどに録音・録画することに関する権利です。
(イ)レコードに録音された実演
  この権利は,自分の実演が「録音」されたCDなどをコピー(複製)することも及びます。
    したがって,音楽CDなどをコピーする場合には,「著作者」である作詞家,作曲家だけでなく,歌手や演奏家などの「実演家」の了解も必要となります。
(ウ)映画の著作物に録音・録画された実演
    いったん実演家の了解を得て,映画の著作物に録音・録画された実演については、以後の利用について原則として権利は働きません(ただし,サントラ盤のように映画の著作物から録音物を作成する場合は,例外的に権利が働きます)。劇映画,Vシネマその他の映像作品については,おおむねこれに該当しますが,放送番組の中でも放送局制作の番組については、実演家から録音録画の了解を得ずに、著作権法上の特例(放送の了解を得ると、放送のために録音、録画することができる)によって、番組を制作している場合が多いので、以後の利用については、改めて録音、録画の了解を得なければならない場合が多いようです。

≪実演の保護期間≫
 実演は、実演を行った時点で、登録等の何らの方式を要さず自動的に権利が発生し、その実演が行われた年の翌年の1月1日から起算して、50年間保護されます。例えば、2004年1月12日に行われた実演は、2004年に50を加えた2054年の12月31日まで保護されることになります。
≪私的使用のための複製≫
 著作権の制限規定の一つです(第30条)。

 カーステレオで使うために音楽CDをMDにコピーする場合や、テレビ番組を録画予約しておいて後日自分で録画した番組を見る場合などのように、家庭内など限られた範囲内で,仕事以外の目的に使用することを目的として,使用する本人がコピー(複製)する場合の例外です。インターネットを通じて得た著作物をダウンロードしたりプリントアウトしたりすること(いずれも「コピー」に該当する)にも,この例外は適用されます。また,学校の児童生徒などが本人の「学習」のために行うコピー(コンピュータ,インターネット等の利用を含む)も,この例外の対象です。

【条件】
ア 家庭内など限られた範囲内で,仕事以外の目的に使用すること
イ 使用する本人がコピーすること
ウ 誰でも使える状態で設置してあるダビング機など(当分の間は,コンビニのコピー機など「文献複写」のみに用いるものは除く)を用いないこと
エ コピープロテクションを解除して(又は解除されていることを知りつつ)コピーするものでないこと

 なお,政令(著作権法施行令)で定めるデジタル方式の録音録画機器・媒体を用いてコピーする場合には,著作権者に「補償金」を支払う必要がありますが,これらの機器・媒体については,販売価格に「補償金」があらかじめ上乗せされていますので,利用者が改めて「補償金」を支払う必要はありません。

≪自動公衆送信≫
 サーバー等の送信用コンピュータに蓄積された情報を、公衆のアクセスがあり次第、自動的にその端末機器に向けて情報を送信することをいいます(第2条第1項第9の4号)。インタラクティブ送信(双方向型送信)とも呼ばれます。放送や有線放送のように同時に多数の人に送信する形態のものは自動公衆送信には当たりません。 
≪氏名表示権≫
 著作者人格権又は実演家人格権の一つです(第19条、第90条の2)。

 著作者人格権の場合は、自分の著作物を公表する時に,著作者名を表示するかしないか,表示するとすれば「実名」(本名)か「変名」(ペンネーム等)かなどを決定できる権利です(第19条)。

 ただし,著作物の利用目的や態様に照らして,著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは,公正な慣行に反しない限り,著作者名の表示を省略することができます。例えば,ホテルのロビーでBGMを流している場合に,いちいち作曲者名をアナウンスする必要はありません。

 なお、実演家人格権は、平成14(2002)年の改正で創設された権利ですが、氏名表示権の内容については基本的に著作者人格権のそれと同様の権利です。

≪写真の著作物≫
 著作権法上、写真の著作物は、写真の製作方法に類似する方法を用いて表現される著作物を含む(第2条第4項)」と規定されており、一般概念の写真より広い概念です。具体的には、従来のネガ・ポジ方式の写真やデジタル方式の写真のみならず、写真染め、グラビアなども写真の概念に含まれます。なお、絵画を忠実に撮影した写真や、駅の構内などに設置された自動撮影機によるスピード写真のようなものは、一般に創作性がなく写真の著作物ではないと考えられていますが、この創作性は高度なものである必要はないので、素人のスナップ写真も写真の著作物と考えられます。
≪(社)日本音楽著作権協会≫
 音楽の著作権を集中管理している我が国最大の著作権等管理事業者です。通称JASRAC(ジャスラック)。 作詞家、作曲家、音楽出版社等約13000人・団体と信託による管理委託契約を締結し、音楽の複製、演奏、出版、配信、放送・有線放送、貸与などほとんどの利用形態について管理しています。年間使用料徴収額約1100億円。
≪出所の明示≫
 引用、教科書への掲載、点字による複製などについては、一定の条件を満たせば著作権者の了解なしに利用することができますが、利用に当たって誰のどの著作物を利用しているのかを明らかにすることを「出所の明示」といいます(第48条)。出所の明示は、利用の態様に応じて、合理的と認められる方法及び程度により、著作物の題名、著作者名、出版社名などを明示しなければなりません。なお、利用形態によっては、その慣行があるときに出所の明示をすればよいことになっています。
≪出版権の設定≫
 出版社などが著作権者と契約して「本」を「出版」(「コピー」して「販売(公衆に譲渡)」すること)するときには「出版権の設定」という契約をすることがあります。著作権者は「複製権」(無断でコピーされない権利)を持っていますので,出版社が本を出版するためには,著作権者からそのための了解を得る(「契約」をする)必要がありますが、例えば、著作物の出版について「契約」する場合に、他の出版社から別途出版されては困るという事情があるときに、著作権者と「独占的な出版」について契約することがあります。しかし、そのような契約をしても、著作権者が別の出版社と出版の契約をしてしまった場合には、著作権者に契約違反の責任を追及できるだけで、別途出版の契約をした出版社に対しては、何ら責任を追及することができません。

 「出版権の設定」契約をした場合は、「著作物を出版することに関する排他的権利」を持つことになりますので、このような場合に別途出版を行った出版社に対して、自分の出版権を侵害するものであるとして、出版をやめさせることができます。

 なお、出版権の設定を受けた出版社は、原稿の引き渡しを受けた後6ヶ月以内に著作物を出版する義務や著作物を継続して出版する義務を負います。また、出版権の設定や移転等については、登録しなければ第三者に対抗することができません(第79条〜第88条)。

≪出版権の登録≫
 出版権及び出版権を目的とする質権の得失・変更等については、登録しなければ第三者に対抗することができません(第88条)。例えば、著作権者と別途出版の契約をした者や、著作権を譲り受けた者に対して対抗することができないことになります。また、出版権は排他的独占的な権利ですので、本来は二重に出版権の設定はできないのですが、仮にそのような事態が生じた場合は、出版権の設定契約の前後にかかわらず、先に登録した方が相手方に対抗できるということになります。
≪上映≫
 著作物を映写幕その他の物に映写することをいい(第2条第1項第17号)、劇場で映画を上映する場合(動画の映写)に限らず、パソコンのディスプレイに図形や文書を投影(静止画の映写)する場合なども含まれます。また、映画の著作物の上映に伴って、そこに固定されている音を再生することを含みます。
≪上映権≫
 著作物を,機器(映写機、パソコン、テレビ等)を用いて,公衆向けに「上映」する(スクリーンやディスプレイに映し出す)ことに関する権利です(第22条の2)。

 この権利は,映画の著作物に限らず,すべての著作物が対象となりますが,「機器」を用いた場合に限定されているので,「現物を直接見せる」(例えば美術作品を展示する)という場合は含まれません。

 なお,インターネットを通じていったん入手した「動画」や「静止画」をディスプレイ上に映し出して公衆に見せる行為(通常は,いったんパソコン内に固定されている)も,上映に当たります。

≪上演権・演奏権≫
 著作物を公衆(不特定又は特定多数)に対し「上演」(演劇脚本等の場合)したり,「演奏」(音楽の場合)したりすることに関する権利です(第22条)。上演・演奏には,CDやDVDなどの「録音物・録画物を再生すること」や,著作物の上演・演奏を離れた場所にあるスピーカーやディスプレイに送信して見せたり,聞かせたりすることも含まれます(公衆送信に該当する場合は除く)。
≪商業用レコード≫
 市販の目的をもつて製作されるレコードの複製物をいい(第2条第1項第7号)、レコード店で販売している音楽CD等はほとんど該当します。ただし、商業用レコードは録音物に限りますので、例えばミュージックDVDのような録画物は該当しません。
≪譲渡権≫
 著作物、実演又はレコードをその複製物により公衆(不特定又は特定多数)に譲渡することに関する権利です(第26条の2、第95条の2、第97条の2)。

 この権利が設けられたのは,主として,無断で海賊版を大量に作った侵害者が,これを全部第三者に一括して転売してしまった場合に,その第三者(海賊版作成者ではない)による販売を差し止められるようにするためです。したがって,次のような限定がかけられています。

 第一に,国内又は国外を問わずいったん適法に譲渡されたものについては,権利がなくなります。例えば,店頭で売られている本やCDを買った場合,この権利は既に消滅していますので,転売は自由です。

 第二に,この権利が働くのは公衆向けに譲渡する場合のみですので,「特定少数の人」へのプレゼントのような場合には,この権利は働きません。

 第三に,「例外的に無断でコピーできる場合」で,公衆への譲渡が当然想定されているような場合(例:教員による教材のコピー)には,譲渡についても例外とされ,無断でできることとされています。

≪条約上保護義務を負わない著作物≫
 ベルヌ条約、TRIPS協定等の著作権関係条約加盟国の国民の著作物及び当該加盟国で最初に発行された著作物については、我が国で保護義務を負いますが、それ以外の著作物は我が国で保護義務を負いません。例えば、近隣の諸国でいいますと、中国、韓国、台湾、ロシア等は著作権関係条約に加盟していますので、当該加盟国(地域)の国民(住民)の著作物は我が国で保護されます。またネパールは著作権条約に加入していませんのでネパール国民の著作物は我が国で原則保護しないのですが、我が国で第一発行されるか、他の条約国で第一発行されれば、我が国で保護されることになります。
≪職務著作・法人著作≫
 著作者になり得るのは,通常,実際の創作活動を行う自然人たる個人ですが,創作活動を行う個人以外が著作者となる場合は著作権法により定められています(第15条)。例えば,新聞記者によって書かれた新聞記事や,公務員によって作成された各種の報告書などのように,会社や国の職員などによって著作物が創作された場合などは,その職員が著作者となるのではなく,会社や国が著作者となる場合があります。

 しかし,会社や国の職員などが創作した著作物のすべてについて,会社や国などが著作者になるわけではありません。

 次に掲げる要件をすべて満たす場合に限り,会社や国などが著作者になります。(なお,プログラムの著作物については,公表されない場合も多いため,(d)の要件を満たす必要はありません。)

法人著作の要件
(a) その著作物をつくる「企画」を立てるのが法人 (注)その他の「使用者」(例えば,国や会社など。 以下「法人等」という) であること
(b) 法人等の「業務に従事する者」が創作すること
(c)「職務上」の行為として創作されること
(d)「公表」する場合に「法人等の名義」で公表されるものであること
(e)「契約や就業規則」に「職員を著作者とする」という定めがないこと

≪侵害とみなす行為≫
 次のような行為は,直接的には著作権の侵害には該当しませんが,実質的には著作権の侵害と同等のものですので,法律によって「侵害とみなす」こととされています。

@ 外国で作成された海賊版(権利者の了解を得ないで作成されたコピー)を国内において販売や配布する目的で「輸入」すること(第113条第1項第1号)。

A 海賊版を海賊版と知っていながら,「販売・配布」したりすること。また,販売したり配布する目的で,コピーされたものを「所持」することも対象となります(第113条第1項第2号)。

B 海賊版のコンピュータ・プログラムを会社のパソコンなどで「業務上使用」すること(使用する権原を得たときに海賊版と知っていた場合に限られます)(第113条第2項)。

C 著作物等に付された「権利管理情報」(「電子透かし」などにより著作物等に付されている著作物の名称等,権利者名,著作物等の利用条件などの情報)を不正に,付加,削除,変更すること。
  また,権利管理情報が不正に付加等されているものを,そのことを知っていながら,販売したり送信したりすることも対象となります(第113条第3項)。

D 外国で販売されている国内で市販されているものと同一のCDなどを,輸入してはいけないことを知りつつ,国内で販売するために「輸入」し,「販売・配布」し,又はそのために「所持」すること(販売価格が安い国からの輸入されるCDなどであること、また国内販売後4年を経過する前に販売等されたものであること)(第113条第5項)

E 著作者の「名誉・声望を害する方法」で,著作物を利用すること(第113条第6項)


【す】
≪図形の著作物≫
 地図、学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形も著作物の概念に含まれています(第10条第1項第6号)。具体的には、道路地図、住宅地図、建築物の設計図、グラフ、地球儀、人体模型などが考えられます。

【そ】
≪送信可能化≫
 サーバー等の「自動公衆送信装置」を利用して情報を、公衆からのアクセスに応じて送信されるようにするため、ネットワークに接続されている「自動公衆送信装置」に情報を「蓄積」(いわゆるアップロード)・「入力」(ウェブキャストなど蓄積を伴わない場合)等することや、既に情報が「蓄積」・「入力」等されている「自動公衆送信装置」をネットワークに接続することをいいます(第2条第1項第9の5号)。このような行為により,「蓄積」・「入力」された著作物は,「受信者からのアクセスがあり次第『送信』され得る」という状態に置かれるため,著作権法では、これらの行為を「送信可能化」と定義しています。
≪送信可能化権≫
 「実演家」、「レコード製作者」、「放送事業者」及び「有線放送事業者」が有する著作隣接権の一つで、それぞれ次のような内容となっています。

(実演家)
(ア)生の実演
    自分の「生の実演」を,サーバー等の「自動公衆送信装置」に「蓄積」・「入力」することにより,「受信者からのアクセスがあり次第『送信』され得る」状態に置くことに関する権利です(第92条の2)。
(イ)レコードに録音された実演
    自分の実演が「録音」されたCDなどを使って、送信可能化することにも及びます(第92条の2)。
(ウ)映画の著作物に録音・録画された実演
    実演家の了解を得ないで作成された作品を用いる場合に権利が働きます(第92条の2項)。なお,サウンドトラック盤等を用いる場合については,例外的に権利が働きます(第92条の2第2項)。

(レコード製作者)
  レコードを,サーバー等の「自動公衆送信装置」に「蓄積」・「入力」することにより,「受信者からのアクセスがあり次第『送信』され得る」状態に置くことに関する権利です(第96条の2)。

(放送事業者)
  放送(放送を受信して行う有線放送の場合を含む)を受信して,インターネット等で送信するために,サーバー等の「自動公衆送信装置」に「蓄積」「入力」することにより,「受信者からのアクセスがあり次第『送信』され得る」状態に置くことに関する権利です(第99条の2)。
  この権利は,いわゆる「ウェブキャスト」のように,受信した番組を録音・録画せず,(サーバー等を通じて)そのまま流す場合が対象です。

(有線放送事業者)
  有線放送を受信して,インターネット等で送信するために,サーバー等の「自動公衆送信装置」に「蓄積」「入力」することにより,「受信者からのアクセスがあり次第『送信』され得る」状態に置くことに関する権利です(第100条の4)。
  この権利は,いわゆる「ウェブキャスト」のように,受信した番組を録音・録画せず,(サーバー等を通じて)そのまま流す場合が対象です。

≪損害賠償請求≫
 著作権者等の権利者は、故意又は過失により、自己の著作権等を侵害した者に損害賠償の請求ができます(民法709条)。請求可能額については、「損害額の推定」の用語解説を参照してください。なお、著作者人格権又は実演家人格権の場合で、精神的苦痛に対する請求の場合は、慰謝料の請求になります(民法第710条)。
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【た】
≪題号≫
 著作物の題名のことを言います。

 題号それ自体は、著作権による保護の対象にはならないと考えられます。ただし、題号は著作物の内容を集約して表現したものであり、これを著作者に無断で変更することは、著作者人格権のうちの同一性保持権の侵害となります(第20条)。

≪貸与権≫
 財産権としての著作権又は著作隣接権の一つで、 著作物をその複製物により公衆に「貸与」することに関する権利です(第26条の3)。

 貸与には,どのような名義・方法でするかを問わず,貸与と同様の使用の権原を取得させる行為,例えば買戻特約付譲渡等も含まれます。また、貸与権は、著作物の場合、映画の著作物を除く著作物に与えられた権利ですが、映画の著作物に貸与に関する権利がないわけではなく、映画の著作物のみに与えられている頒布権(第26条)には貸与に関する権利が含まれています。実演家およびレコード製作者については、市販用の音楽CD等の録音物について、音楽CD等の販売から1年間に限り、貸与権が与えられています(1年を超えるものは報酬請求権)。したがって、例えば貸しレコード店で音楽CDが貸された場合は、著作権および著作隣接権(実演家及びレコード製作者)の貸与権が働くことになり、これらの権利者の了解なしには事業を行うことは出来ません。ただし、例えば公共図書館の本やCDの貸出しの場合のように、貸与が非営利かつ無料で行われている場合は、権利者の了解が必要でないことになっています(第38条第4項)。

≪団体名義の著作物の保護期間≫
 著作権の保護期間は、原則として著作者の死後50年までですが、死後起算が出来ない又は不適当な著作物については、公表後起算になっています。団体名義の著作物というのは、法人が著作者かどうかにかかわらず、著作者名義が団体名義であるものをいいますが、外形的には著作者が団体であることから死後起算にはなじまないので、公表後50年まで保護されることになっています(第53条)。なお、創作後50年以内に公表されなかったときは、創作後50年となっています。

【ち】

≪著作権者≫
 著作権を有する者のことをいいます。一般に著作者が著作権者であることが多いですが、財産権としての著作権は、譲渡や相続の対象になりますので、著作者と著作権者が常に一致するわけではありません。

 

≪著作権等管理事業者≫
 著作権等管理事業法に基づき、文化庁に登録し、著作権又は著作隣接権の集中管理事業を行っている事業者のことをいいます。著作権等管理事業者が管理している著作物等は、著作権等管理事業者が窓口となって、利用の許諾を行います。

 

 文化庁に登録している事業者については、以下のURLから確認することが出来ます。
  http://www.bunka.go.jp/ejigyou/script/ipkenselect.asp

≪著作権等管理事業法≫
 権利者から、信託、代理又は取り次ぎの方法により、著作権や著作隣接権の管理を一任され、権利者に代わって利用の許諾を行い使用料の徴収を行う事業である「著作権等管理事業」を規制している法律のことをいいます。

 

 この著作権等管理事業を行うためには、著作権等管理事業法に基づき、文化庁長官の登録を受けなければなりません。なお、文化庁に登録している事業者については、以下のURLから確認することが出来ます。
  http://www.bunka.go.jp/ejigyou/script/ipkenselect.asp

≪著作権の取得≫
 「著作者人格権」と「著作権(財産権)」は,著作物が創作された時点で「自動的」に付与されます。したがって,権利を得るための登録などの手続は,一切必要ありません (無方式主義 (第17条第2項))。 

 

≪著作権の譲渡≫
 著作者の権利のうち,著作者人格権以外の著作権(財産権)は,契約によって他人に譲り渡すことができます(第61条)。

 

 また,著作権は分割して譲渡することもできます。例えば,複製権などの支分権ごとの譲渡,期間を限定した譲渡,地域を限定した譲渡(米国における著作権)などの方法が考えられます。
  なお、全ての著作権を譲り受けたいときは,「全ての著作権を譲渡する」と規定するだけでは不十分です。著作権法では譲渡人の保護規定があり(第61条第2項)、単に著作権を譲渡すると契約しただけでは、二次的著作物の創作権(第27条)及び二次的著作物の利用権(第28条)の権利は権利者に留保されたものと推定されるからです。したがって、著作権を完全に譲り受けるためには,「全ての著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)を譲渡する」などの文言で契約する必要があります。

 また,「ポスター」や広報用の「ビデオ」などの製作を「外注」した場合,著作者となって著作権を持つのは「受注者」となりますので,「発注者」が納品された著作物を自由に利用したいのであれば,発注の時点で「著作権(第27条及び第28条を含む)を発注者に譲渡する」といった契約をしておくことが必要です。

≪著作権の制限≫
 著作物を複製、上演・演奏、公衆送信等の方法により利用する場合、その都度著作権者から了解を得ることが原則となります。

 

 しかし、この原則をいかなる場合にも当てはめることは、文化的所産である著作物の公正で円滑な利用を妨げることとなり、ひいては、文化の発展に寄与することを目的とする著作権制度の趣旨に反することにもなりかねません。そこで、著作権法では、一定の場合に限り、著作権者の権利を法律上制限して著作権者の了解を得ることなく、著作物を利用できることとする例外ルールを定めており、それを著作権の制限といっています。例えば、「私的使用のための複製」、「教科書等への掲載」、「図書館等における複製」、「営利を目的としない上演等」、「引用」などがあります。

 ただし、こうした例外は著作権者の権利を不当に害することのないよう、また、あくまでも「例外」の措置であるので、その条件を厳格に運用する必要があります。

≪著作者≫
 著作者とは,「著作物を創作した者」のことです(第2条第1項第2号)。一般には,自然人が著作者ですが、我が国の場合、一定の条件を満たした場合には、法人等が著作者になるときがあります(第15条)。また、一般に小説家や画家や作曲家などの「創作活動を職業とする人」だけが著作者になると考えられがちですが,創作活動を職業としていなくても,作文・レポートなどを書いたり,絵を描いたりすれば,それを創作した人が著作者になります。つまり,小学生や幼稚園児などであっても,絵を描けばその絵の著作者となり,作文を書けばその作文の著作者となります。上手いか下手かということや,芸術的な価値などといったことは,一切関係ありません。また,私たちが手紙を書けば,多くの場合,その手紙が著作物となります。私たちは,日常生活を送る中で,多くの著作物を創作しています。ただ,そうした著作物が出版されたり,放送されたりして経済的に意味のある形で利用されることがほとんどないため,著作者であることや著作権を持っていることを意識することが少ないだけのことです。

≪著作者が存しなくなった後における人格的利益の保護≫
 著作者人格権は著作者の死亡(法人の場合は解散)とともに消滅します(第59条)。しかし、著作者が死亡してしまうと、日記を公表したり、氏名を変えたり、内容を改変することが自由に出来てしまっては問題がありますので、著作者が死亡等により存しなくなった後であっても、仮に著作者が存しているとしたら著作者人格権の侵害となるような行為を行うことを禁じています(第60条)。なお、第60条違反について、一定の遺族は差し止め等の民事的な対抗手段が可能です(第116条)。また、罰則の適用もあります(第120条)。

 

≪著作者人格権≫
 著作者の人格的な利益について、法律上の保護を図るものです。著作者人格権は、その性質上、著作者固有の権利として認められるものであり、他人に譲渡することができない「一身専属的な権利(第59条)」とされています。

 

 著作者人格権には、公表権(第18条)、氏名表示権(第19条)、同一性保持権(第20条)がありますが、これらを侵害しない行為であっても、著作者の名誉又は声望を害する方法により著作物を利用する行為は、著作者人格権の侵害とみなされます(第113条第5項)。

≪著作者人格権の一身専属性≫
 「著作者人格権」は,著作者が精神的に傷つけられないようにするための権利であり,創作者としての心情を守るためのものであることから,これを譲渡したり,相続したりすることはできないこととされています (第59条)。

 

≪著作者の権利≫
 著作権法により、著作物を創作した者である著作者に与えられている権利です。著作者の権利には、人格的利益 (精神的に「傷つけられない」こと)を保護するための「著作者人格権」と,財産的利益 (経済的に「損をしない」こと) を保護する「著作権(財産権)」の二つがあります。

 

≪著作者の推定≫
 著作者が誰であるかについての立証を容易にするため、著作権法では、著作物の原作品(例 絵画、彫刻)に、又は著作物を公衆に提供・提示した際(例 出版物の販売)に、氏名・名称などが表示されている者を、この著作物の著作者と推定すると規定しています(第14条) 著作者と推定されることにより、相手方が反証をしなければ、表示者が著作者として取り扱われることになります。

 

≪著作者又は実演家の死後における人格的利益の保護のための措置≫
 著作者人格権及び実演家人格権は、著作者及び実演家の一身に専属する権利で、権利そのものは著作者等の死亡と同時に消滅します(第59条、第101条の2)が、著作者、実演家の死後においても、生存していたとすれば著作者人格権及び実演家人格権の侵害となるべき行為を行うことを禁じています(第60条、第101条の3)。そして、死後の人格的利益が犯された場合、一定の遺族は、違反行為の形態に応じ、差止請求(第112条)又は名誉回復等の措置(第115条)を請求できます。なお、死後の人格的利益を犯した者は、別途罰則の対象になります(第120条)。

 

≪著作者名詐称の罪≫
 著作者名を偽って著作物の複製物を頒布する行為は、著作権法第121条により犯罪となっており、罰則の対象となります。
  これは、世人を欺く詐欺的行為の防止の見地、及びこれに付随して著作名義者の人格的利益の保護の見地からによるものです。

 

≪著作物≫
 「著作者の権利」によって「保護」される対象が著作物です。著作物は,著作権法では,「思想又は感情を創作的に表現したものであつて,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」
と定義されています(第2条第1項第1号)。

 

 具体的にどのようなものが著作物であるのかは,第10条に例示されています。

 しかし,これらはあくまでも例示であって,著作物はこれだけに限りません。先に述べた定義にあてはまるもの,すなわち,以下の条件をすべて満たすものは,表に掲げられていないものであっても,著作物に該当することになります。定義の解釈は次のとおりです。

 (a)「思想又は感情」を
  (b)「創作的」に
  (c)「表現したもの」であって,
  (d)「文芸,学術,美術又は音楽の範囲」に属するもの

(a)の条件によって,「東京タワーの高さ:333メートル」といった「単なるデータ」(書いた人の思想,感情と無関係)が著作物から除かれます。

(b)の条件によって,他人の作品の「模倣」や,「明治維新は1868年だった」といった「単なる事実」(創作されていないもの)が除かれます。

(c)の条件によって,「アイディア」が著作物から除かれます(アイディアを解説した「文章」は著作物になり得る)。

(d)の条件によって,「工業製品」などが,著作物から除かれます。

 (注) 「特許権」は「アイディア」を保護し,「著作権」は「表現」を保護しています。このため,例えば,ある「薬」の製法について特許権が付与されている場合,1) その製法に従って,その薬を「製造・販売」すること(アイディアの利用)は,特許権の侵害となり,2) その製法を書いた「論文をコピー」すること(表現の利用)は,「著作権」の侵害になります。

≪著作物等の利用の許諾≫
 他人の「著作物」、「実演」、「レコード」、「放送」又は「有線放送」を,「コピー」や「インターネット送信」などの方法で利用するには,原則として「権利者の了解」を得ることが必要です。この「了解」のことを,著作権法では「許諾」と言っています(第63条、第103条)。

 

 この「了解を得る」ということは,文書を交わす場合も口頭の場合も,また,利用の対価を支払う場合も無料の場合も該当し,権利者と利用者が「契約する」ということです。

≪著作物の例示≫
 著作権法では,次に掲げられているように,著作物の種類を例示しています(第10条)。

○言語の著作物 講演,論文,レポート,作文,小説,脚本,詩歌,俳句など            
○音楽の著作物 楽曲,楽曲を伴う歌詞        
○舞踊,無言劇の著作物  日本舞踊,バレエ,ダンス,舞踏,パントマイムの振り付け
○美術の著作物 絵画,版画,彫刻,マンガ,書,舞台装置など(美術工芸品を含む)
○建築の著作物 芸術的な建築物
○地図,図形の著作物    地図,学術的な図面,図表,設計図,立体模型,地球儀など
○映画の著作物 劇場用映画,アニメ,ビデオ,ゲームソフトの映像部分などの「録画さ
               れている動く影像」
○写真の著作物 写真,グラビアなど
○プログラムの著作物     コンピュータ・プログラム

 

 なお,「映画の著作物」を除き,著作物とされるためには,「固定」(録音,録画,印刷など)されている必要はありませんので,「原稿なしの講演」や「即興の歌」なども保護の対象となります。

≪著作隣接権≫
 著作物等を「伝達する者」(実演家,レコード製作者,放送事業者,有線放送事業者)に付与される権利です。著作隣接権は,実演等を行った時点で「自動的」に付与されるので,登録等は不要です(無方式主義)。

 

 こうした「伝達」は様々な形態で行われていますが,条約の規定や諸外国の著作権法では,多くの場合「実演家」「レコード製作者」「放送事業者」の三者が,著作隣接権を持つ主体とされています。しかし,日本の著作権法はこれよりも保護が厚く,「有線放送事業者」にも著作隣接権を付与しています。

≪著作隣接権者≫
 著作権法では、実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者が有する財産的な権利のうち排他的独占的な権利を著作隣接権と規定しています(第89条第6項)。したがって、著作隣接権は、人格的利益を保護する実演家人格権は含まれないことになります。また、実演家及びレコード製作者に認められた商業用レコードの二時使用料を受ける権利(第95条、第97条)のように排他的独占的な権利ではなく報酬請求権であるものも含まないことになります。

 

≪著作隣接権の譲渡≫
 著作隣接権は、財産権であり、著作権と同様に、全部又は一部の権利譲渡が可能となっています(第103条)。

 

【て】

≪データベースの著作物≫
 データベースとは、「論文、数値、図形その他の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの(第2条第1項第10号の3)」をいい、その情報の選択又は体系的な構成によって創作性を有するデータベースは著作物としての保護を受けます(第12条の2)。

 

 例えば、学術論文の書誌事項や全文を蓄積したデータベース、企業内の従業員に関する情報や顧客情報を蓄積したデータベースなどがあります。

 データベースの著作物は、編集著作物と類似する面を持っていますが、「素材の配列」ではなく「情報の体系的な構成」に著作物としての重要な要素を認めている点で異なっています。「体系的な構成」とは、コンピュータで検索するためのコード、個々の情報の属性(数値なのか文字なのかなど)、情報の文字数や桁数などを設定し、それに従って情報を整理し、組み立てることを言います。

≪展示権≫
 「美術の著作物の原作品」と「未発行の写真の著作物の原作品」のみを対象として付与されている権利で,これらを公衆向けに「展示」することに関する権利です(第25条)。

 

 原作品とは,美術の著作物にあっては、例えば、画家が描いた絵そのもののことです。 また,写真については,ネガは原作品ではなく,当該ネガから作成された写真が原作品となります。なお、鋳造品、版画、写真等については、例えば、写真の場合、オリジナルネガからは同じ写真が何枚も作成できることになりますが、これらの写真はすべて原作品(いわゆるオリジナルコピーといわれるもの)になります。

 また、通常,絵画が売買されても,売主から買主へ移転するのは,物としての絵画の「所有権」だけで,「著作権」は,著作権を譲渡するという契約が行われていなければ,著作権者が引き続き持っています。

 したがって,物としての絵画を購入しても,著作権者に無断で「コピー」や「展示」は原則としてできないことになりますが,「美術の著作物等の原作品の所有者による展示」については,例外が認められています(第45条)。

【例外が認められる要件】
ア 「美術」または「写真」の著作物であること
イ オリジナル(原作品)の「所有者自身」または「所有者の同意を得た者」が展示すること
ウ 美術の著作物のオリジナルを,街路・公園等や,ビルの外壁など一般公衆の見やすい屋外の場所に恒常的に設置する場合でないこと

≪点字による複製等≫
 著作権の制限規定の一つです(第37条)。公表された著作物について、点字による複製は著作権者の了解を得ることなく行えます(第37条第1項)。また、公表された著作物を、点字データによって、フロッピーディスク等の記録媒体に保存したり、インターネット等で送信することについても、著作権者の了解なしに行うことができます(第37条第2項)。

 

≪伝達権≫
 伝達権とは、公衆送信された著作物を、テレビ、ラジオ、パソコンなどの受信装置を用いて、公衆(不特定又は特定多数)向けに伝達する(公衆に見せたり聞かせたりする)ことに関する権利です(第23条第2項)。

 

 この権利は、公衆送信される著作物をそのまま生で伝達する場合のみ働く権利であり、公衆送信された著作物を一旦録音・録画等複製し、その後複製物を用いて公衆に視聴させる場合には権利が及びません。録音・録画物を用いる場合については、録音・録画時に複製権(第21条)が働くとともに、録音・録画された著作物の種類や利用方法によっては、上演権(第22条)、演奏権(第22条)、上映権(第22条の2)又は口述権(第24条)が働くこととなります。

 なお、放送又は有線放送される著作物の伝達権については、大幅に権利が制限(第38条第3項)されており、非営利・無料又はテレビ・ラジオなどの通常の家庭用受信装置を用いた伝達については自由にできることとされています。

 

【と】
≪同一性保持権≫
 自分の著作物の内容や題名を,自分の意に反して無断で「改変」(変更・切除等)されない権利です(第20条)。

 ただし,著作物の性質やその利用の目的・態様に照らしてやむを得ないと認められる場合は除かれます。例えば,印刷機の性能の問題で色がうまく出ないとか,「歌手の歌が下手」などという場合が,これに当たります。

≪登録制度≫
 著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し、その取得のためになんら手続を必要としません。この点が、登録することによって初めて権利が発生する「特許権」や「実用新案権」などと異なる点です。

 著作権法上の登録制度は、権利取得のためのものではなく、著作物に係る法律事実を公示する、或いは、著作権、出版権又は著作隣接権について、権利の移転、質権の設定等の権利変動があった場合の取引の安全を確保するための制度です。

 著作権法では次のような登録制度を設けています。

@実名の登録(著作物、第75条)
A第一発行(公表)年月日の登録(著作物、第76条)
B創作年月日の登録(プログラムの著作物、第76条の2)
C著作権又は著作隣接権の移転等の登録(第77条、第104条)
D出版権の設定等の登録(法第88条)

  登録申請は、文化庁著作権課にて受け付けています。なお、プログラムの著作物については、(財)ソフトウェア情報センター(SOFTIC)にて受け付けています。

 
≪図書館等における複製≫
 著作権の制限規定の一つです(第31条)。 図書館等が利用者の求めに応じて行う所蔵資料等の複写サービス等については、厳格な条件の下に著作権を制限して、著作権者の了解を得ることなく複写等を行うことができることとしています。

【条件】
ア 政令で定める図書館等であること
イ 「営利」を目的としないコピーであること
ウ コピー行為の「主体」が図書館等であること
エ その図書館等が所蔵している資料をコピーすること
オ 次のいずれかの場合であること
  ・調査研究を行う利用者の求めに応じて,既に公表されている著作物の一部分(既に次号が発行されている雑誌の中の著作物については,全部でもよい)を,一人につき一部提供する場合
・図書館資料の保存のために必要がある場合
  ・他の図書館の求めに応じ,絶版その他これに準ずる理由により一般に入手することが困難な図書館資料のコピーを提供する場合

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【に】
≪二次的著作物≫
 ある外国の小説を日本語に「翻訳」した場合のように,一つの著作物を「原作」とし,新たな創作性を加えて創られたものは,原作となった著作物とは別の著作物として保護されます(「翻訳」などをした人が著作者)。このような著作物は,「二次的著作物」と呼ばれています。小説を「映画化」したもの,既存の楽曲を「編曲」したものなども,このような二次的著作物です(第2条第1項第11号,第11条)。この権利を、一般に二次的著作物の創作権(第27条)と呼んでいますが、具体的には翻訳権、編曲権、変形権(例えば平面的な著作物を立体的な著作物にする)、翻案権(脚色、映画化等)からなります。

 なお,この二次的著作物を利用する場合は、二次的著作物の創作者である翻訳者、編曲者等の了解を得る必要があることはいうまでもありませんが、原作の著作者についても了解が必要で、一般にこれを二次的著作物の利用権(第28条)と呼んでいます。

≪二次的著作物の創作権≫
 ある外国の小説を日本語に「翻訳」した場合のように,一つの著作物を「原作」とし,新たな創作性を加えて創られたものは,原作となった著作物とは別の著作物として保護されます(「翻訳」などをした人が著作者)。このような著作物は,「二次的著作物」と呼ばれています。小説を「映画化」したもの,既存の楽曲 ある著作物(原著作物)を、翻訳したり、編曲したり、映画化したり、表現形式を変更したりする等して創作された著作物を二次的著作物と呼びます(第2条第1項第11号)。このように二次的著作物を創作する権利のことを、二次的著作物の創作権(第27条)といい、原作の著作権者の了解がないと二次的著作物は作れないことになっています。なお、この権利は、翻訳権、編曲権、変形権(例えば平面的な著作物を立体的な著作物にすること)、翻案権(脚色化、映画化等)からなっています。
≪二次的著作物の利用権≫
 ある著作物(原著作物)を、翻訳したり、編曲したり、映画化したり、表現形式を変更したりする等して創作された著作物を二次的著作物と呼びます(第2条第1項第11号)。

 二次的著作物については、これを創作した者が有する権利(著作権)と同一の権利を、原著作物の著作権者も有することになり、これを一般に二次的著作物の利用権と呼んでいます(第28条)。具体的には、日本語で書かれた小説を英語に翻訳し、それを出版する場合は、翻訳者の了解だけでなく、原作者の了解も必要であるということです。

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【は】
≪発行≫
 著作権者又はその了解を得た者等により、著作物の複製物(例えば音楽CD、映画のビデオテープ、本など)が、その性質に応じて公衆の要求を満たすことができる相当程度部数作成され、頒布された場合を、「発行」と定義しています(第3条)。なお、著作権法上の発行は、適法に行われることが条件ですので、例えば海賊版が何万部も世の中に出回っていても、正規品が流通していない状態であれば、未発行ということになります。
≪罰則≫
 刑罰又は行政罰を定めた法律の規定を罰則と言います。

 著作権法は、第8章(第109条−第124条)に罰則を規定しており、権利侵害者等に対しては、原則として刑事罰が科せられます。

≪発明≫
 特許法では、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものを発明と定義しています。発明のうち、特許を受けているものを特許発明といいます。

 なお、著作権は発明を保護しません。自分の発明を保護したい場合は、特許庁に申請し、特許権を取得する必要があります。

≪頒布≫
 有償であるか、無償であるかを問わず、著作物の複製物(例えば、印刷物、DVD,CDなど)を、公衆(不特定又は特定多数)に譲渡(配布、販売等)又は貸与する行為を言います(第2条第1項第19号)。なお、公衆への譲渡又は貸与ですので、例えば特定の一人に渡すことは頒布にならないことになりますが、映画の著作物については、例えば公衆に上映するために特定の一人に渡す場合であっても、例外的に頒布になります。
≪頒布権≫
 「映画の著作物」(映画,アニメ,ビデオなどの「録画されている動く影像」)の場合に限り,「譲渡」と「貸与」の両方を対象とする「頒布権」という権利が付与されています(第26条)。

 「頒布」とは公衆(不特定又は特定多数)向けに「譲渡」したり「貸与」したりすることですが,「映画の著作物」の「頒布権」は,譲渡・貸与する相手が公衆でない場合(特定少数である場合)であっても,公衆向けの上映を目的としている場合には,権利が及ぶ「頒布」に該当することとされています。

 この「頒布権」のうち譲渡に関する部分は,「譲渡権」の場合とは異なり,「いったん適法に譲渡された後には消滅する」という規定がありません。この強力な権利は,ビデオなどが出現する前の「劇場用映画」の配給形態を前提としたものであり,「劇場用映画」以外の「公衆に提示することを目的としない」ような映画の著作物(「ビデオ・DVD」や「ゲームソフトの影像部分」など)については,いったん適法に譲渡された後には,この「頒布権」も(「譲渡」については)消滅します(平成14年4月の最高裁判決)。

≪版面権≫
 出版者は、著作物の伝達者でありますが、著作権法では、出版者に対し著作権も著作隣接権も与えていません。これに対し、出版者は、新たに「版面の利用に関する権利(版面権)」の創設を希望しています。

【ひ】
≪美術の著作物≫
 絵画、版画、彫刻、書、漫画、劇画などを総じて美術の著作物といい、著作権法では、著作物の例示の一つに挙げられています(第10条第1項)。なお、著作権法では、美術の著作物は、美術工芸品を含むものとすると定義しています(第2条第2項)。これは、美的作品は、絵画、彫刻等の鑑賞用の作品(純粋美術)と、染色図案や工業デザイン等の実用品又はそのひな形(応用美術)に分けられることから、著作権法では、応用美術のうち美術工芸品(壺、茶碗、お皿、刀剣など)が保護の対象になることを明らかにしたもので、応用美術については、必ずしも著作権法による保護の範囲は明確ではありません。しかし、判例では、例えば大量生産されたおみやげ品でも著作権の保護を肯定した事例やTシャツのデザインの著作権保護を肯定した事例などもあり、美術工芸品に限らず、鑑賞的色彩の強いものについて、著作権法上の保護を認める傾向にあります。 
≪美術の著作物等の原作品の所有者による展示≫
 著作権の制限規定の一つです(第45条)。絵画や彫刻などの美術の著作物や写真の著作物の原作品の所有者又はその同意を得た者は、著作権者の了解なしに、それらの作品を展覧会等で展示することができます。この規定は、所有権と著作権は別の権利ですので、作品を所有していても、著作権者の了解が得られないので、作品を展覧会等に出品できないという弊害をなくすために設けられた措置です。ただし、美術の著作物の原作品を、街路や公園などの屋外に、恒常的に設置する場合には、原則に戻って、著作権者の了解が必要です。
≪美術の著作物等の展示に伴う複製≫
 著作権の制限規定の一つです(第47条)。 適法に美術の著作物や写真の著作物の原作品による展覧会を開催する者は、観覧者向けの作品紹介のためのパンフレット等(小冊子)に、展示する絵画や彫刻を掲載することができます。

 もっとも、観覧者への販売用のポスターや絵はがき、また鑑賞用の図録への掲載等の場合には、著作権者の了解が必要です。


【ふ】
≪複製≫
 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することを言います(第2条第1項第15号)。また、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含みます。

@脚本その他これに類する演劇用の著作物・・・当該著作物の上演、放送又は有線放送を録音し、又は録画すること。
A建築の著作物・・・建築に関する図面に従って建築物を完成すること。

≪複製権≫
 手書,印刷,写真撮影,複写,録音,録画,パソコンのハードディスクやサーバーへの蓄積など,どのような方法であれ,著作物を「形のある物に再製する」(コピーする) ことに関する権利で,すべての著作物を対象とする最も基本的な権利です。「生」のものを録音・録画・筆記するようなことも含まれます(第21条)。

 なお,脚本等の演劇用の著作物の場合は,それが上演・放送されているときに録音・録画することも,複製に当たります。

 また,建築の著作物に関しては,その「図面」に従って建築物を作ることも,複製に当たります (建築に関する図面自体は,「図形の著作物」として保護されます)。

 
≪複製物の目的外使用≫
 私的使用のための複製などの権利制限規定によって作成された著作物等の複製物は、それぞれの規定に定める使用目的のために作成されたものです。したがって、著作権法では、例えば、当初の目的・用途以外の目的等で用いるために、当該複製物を他人にあげたり貸したり、又は見せたりした場合は、その行為をした人が、その時点で複製をしたと見なして、複製物の作成について再評価をする仕組みにしています(第49条)。
≪不当利得返還請求≫
 法律上の原因がないのに、例えば他人の権利を侵害することにより,利益を受けた者に対して,侵害を被った者は,相手方が得た利益の返還を請求することが出来ます(民法第703条,第704条)。著作権等の場合においても、もちろん適用がありますが、実務的には、例えば音楽を継続的に無断利用していた者などに対し請求が行われることがあります。
≪舞踊の著作物≫
 日本舞踊、バレエ、パントマイムなども、思想又は感情を動作により表現することから、これらも著作物の範疇に含めています(第10条第1項)。この舞踊又は無言劇の著作物とは、「振り付け」のことを指し、踊りそのものは「実演」に該当します。
≪プログラム言語≫
 コンピュータプログラムを作成するために用いるプログラム言語のことを言います。日本語や英語が著作権法で保護されないと同様にプログラム言語も保護されないことを、著作権法では、確認的に規定しています(第10条第3項)。
≪プログラムの著作物≫
 プログラムとは、「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの(第2条第1項題10号の2)」と定義されています。このプログラムの中で、表現に創作性があるものがプログラムの著作物で、著作権法でも著作物の例示の一つにあげています(第10条第1項)。なお、ここでいう電子計算機には、汎用コンピュータやパソコンだけでなく、OA機器や家電製品に組み込まれているマイクロプロセッサも含まれます。また、OS、アプリケーションプログラム、ソースプログラム、オブジェクトプログラムなどプログラムの用途や種類を問わず、著作物になります。
≪プログラムの著作物の所有者による複製等≫
 著作権の制限規定の一つです(第47条の2)。 プログラムの著作物の所有者は、その滅失や毀損に備えてバックアップ・コピーを作成することや、プログラムの機能を向上させるためのバージョンアップ(翻案)を行うことができます。なお、滅失以外の理由で当該プログラムの著作物の所有権を失った場合(他人に譲渡した場合など)には、この規定の適用を受けて作成された複製物は、廃棄しなければなりません。

【へ】
≪変形権≫
 二次的著作物の創作権の一つです(第27条)。変形というのは、平面的な作品を立体的な作品にすることや(次元を異にして表現)、写真を絵画にすること(表現形式を異にして表現)をいい、その変換に創作的な行為が関与する場合は、変形権が働くので、著作権者の了解なしにはできないことになります。 
≪編集著作権≫
 詩集,百科事典,新聞,雑誌のような「編集物」は,そこに「部品」として収録されている個々の著作物などとは別に,「全体」としても「編集著作物」として保護されます(第12条)。

 したがって,こうしたものの「全体」をコピーするような場合には,「部品」である個々の著作物すべての著作権者の了解を得るとともに,全体(編集著作物)の著作権者の了解も得なければなりません。この「編集著作物」に生じる著作権が、編集著作権です。 

≪編集著作物≫
 詩集,百科事典,新聞,雑誌のような「編集物」は,そこに「部品」として収録されている個々の著作物などとは別に,部品の選択又は配列に創作性があれば「全体」としても「編集著作物」として保護されます(第12条)。

 なお、類似の著作物として、コンピュータで検索できる編集物のうち、部品の選択又は体系的な構成に創作性があるものを「データベースの著作物」といい(第2条第1項第10号の3,第12条の2),編集著作物とは区別しています。

≪変名の著作物≫
 著作物の公表に当たり、著作者の本名以外の雅号、筆名、略称等の本名に代えて用いられるものが付されているもののことを言います。なお、これらの変名であっても、広く一般に周知され変名であって本人が特定される場合は周知の変名として、実名(本名)の著作物と同様の取り扱いがされています(例えば、変名の著作物の保護期間は、公表後50年ですが、周知の変名については、実名の著作物と同じ死後50年まで保護されます)。

【ほ】
≪法人著作≫
 著作者になり得るのは,通常,実際の創作活動を行う自然人たる個人ですが,創作活動を行う個人以外が著作者となる場合が法律により定められています。例えば,新聞記者によって書かれた新聞記事や,公務員によって作成された各種の報告書などのように,会社や国の職員などによって著作物が創作された場合などは,その職員が著作者となるのではなく,会社や国が著作者となる場合があります(第15条)。

 しかし,会社や国の職員などが創作した著作物のすべてについて,会社や国などが著作者になるわけではありません。

 次に掲げる要件をすべて満たす場合に限り,会社や国などが著作者になります。(なお,プログラムの著作物については,公表されない場合も多いため,(d)の要件を満たす必要はありません。)

法人著作の要件
(a) その著作物をつくる「企画」を立てるのが法人 (注)その他の「使用者」(例えば,国や会社など。 以下「法人等」という) であること
(b) 法人等の「業務に従事する者」が創作すること
(c)「職務上」の行為として創作されること
(d)「公表」する場合に「法人等の名義」で公表されるものであること
(e)「契約や就業規則」に「職員を著作者とする」という定めがないこと

≪放送≫
 「公衆送信」のうち,公衆(不特定又は特定多数の人)によって同一の内容 (著作物に限らない) が同時に受信されることを目的として行う無線の送信であり,具体的には,テレビ放送のように,番組が「常に受信者の手元まで届いている」ような送信形態のものです(第2条第1項第8号)。 
≪放送権≫
 放送とは、公衆(不特定又は特定多数の者)に直接受信されることを目的とした無線又は有線の送信である「公衆送信」のうち、公衆によって同一の内容が同時に受信されることを目的として行われる無線送信のことをいい、例えば地上波、BS,CSを使用したテレビ又はラジオ放送がこれに該当します。一般にこの放送に関する権利を放送権と言っていますが、保護対象によって権利の定め方又は内容が異なります。具体的には、著作者の場合は、公衆送信権(第23条)の一部分という位置づけです。実演家の場合は、放送権(第91条)、放送事業者の場合は、再放送権(第99条、放送を受信して再放送する権利)、有線放送事業者は、放送権(第100条の3、有線放送を受信して放送する権利)になりますが、レコード製作者ついては、放送権は認められていません。
≪放送事業者≫
 放送を業として行う者です(第2条第1項第9号)。

 なお,放送などを行う場合には,「放送法」等による「規制」を受ける場合(国から「免許」を得なければならない場合など)がありますが,これは,各国が国内的な必要によってそれぞれ独自に定めている「規制」であって,国際的な「私権」のルールに従って付与される著作隣接権の有無とは全く無関係です。ですから,キャンパスFMなどで番組を送信した(放送した)者なども対象となります。

≪保護期間
 著作権や著作隣接権などの著作権法上の権利には一定の存続期間が定められており,この期間を「保護期間」といいます。

 これは,著作者等に権利を認め保護することが大切である一方,一定期間が経過した著作物等については,その権利を消滅させることにより,社会全体の共有財産として自由に利用できるようにすべきであると考えられたためです。

@  「著作者人格権」及び「実演家人格権」の保護期間

 「著作者人格権」等は一身専属の権利とされているため (第59条、第101条の2)),著作者等が死亡 (法人の場合は解散) すれば権利も消滅することとなります。 つまり,保護期間は著作者の「生存している期間」です。 しかし,著作者の死後 (法人の解散後) においても,原則として,著作者人格権等の侵害となるべき行為をしてはならないこととされています (第60条、第101条の3)。

A  「著作権及び著作隣接権(財産権)」の保護期間

ア 著作権
 著作権の保護期間は,著作者が著作物を創作したときに始まり,原則として著作者の生存している期間及び死後50年間までです (第51条)。しかし、死後起算が出来ない又は適当でない著作物については、公表起算になっています。具体的には、無名又は変名(一般によく知られている周知の変名を除く)の著作物及び団体名義の著作物は公表後50年まで、映画の著作物は公表後70年まで保護されます(第52条、第53条、第54条)。

イ 著作隣接権(報酬請求権も含む)
実演、レコード、放送及び有線放送については、実演があったとき、レコードを最初に発行したとき、放送及び有線放送を行ったときから50年まで保護されます。

 *なお、保護期間の計算は暦年計算で、死亡、公表等した年の翌年の1月1日から起算します。例えば、2005年2月1日に著作者が死亡した場合は、2005に50を加えた2055年の12月31日まで保護されるということです。

≪保護期間の計算方法≫
 計算方法を簡単にするため,すべての期間は,死亡,公表,創作した年の「翌年の1月1日」から起算します(第57条)。 例えば,手塚治虫さんの著作物は,手塚さんが平成元年 (1989年) に亡くなられましたから,1989に50を加えた2039年の12月31日まで保護されることになります。なお、著作隣接権の場合も同様です。
≪保護期間の相互主義≫
 国際条約は内国民待遇を原則としていますが、保護期間については、相互主義が認められています。例えば、ある国が死後70年まで保護している場合、我が国は死後50年までしか保護していませんので、当該国では、我が国の著作物を死後50年まで保護すればよいということです。これは、著作物等の本国で権利が消滅しているにもかかわらず、条約国では権利が存在するという弊害を避けるための措置です。なお、我が国は保護期間の相互主義を採用していますが(第58条)、例えば米国のように保護期間の相互主義を採用していない国もあります。
≪保護を受ける著作物≫
 我が国の著作権法によって保護を受ける著作物は、次のいずれかに該当するものです(第6条)。

(a) 日本国民(法人を含む)が創作した著作物(国籍の条件)
(b) 最初に日本国内で発行(相当数のコピーの頒布)された著作物(外国で最初に発行されたが発行後30日以内に国内で発行されたものを含む)(発行地の条件)
(c) ベルヌ条約,TRIPS協定等の条約により我が国が保護の義務を負う著作物(条約の条件)

≪保護を受けるレコード≫
 我が国の著作権法によって保護を受けるレコードは、次のいずれかに該当するものです(第8条)。

ア 日本国民(法人を含む)が作ったレコード
イ 日本国内で作られた(音が最初に日本国内で固定された)レコード
ウ 「実演家等保護条約」「実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約」「TRIPS協定」「レコード保護条約」により我が国が保護の義務を負うレコード

≪翻案権≫
 二次的著作物の創作権(第27条)の一つです。著作物に創作性を加えて別の著作物を作成する権利のことをいい、原作を脚本にしたり(脚色化)、映画にしたり(映画化)、文書を要約したりする場合に働く権利です。
≪翻訳・翻案等による利用≫
 著作権の制限規定により著作物の利用が認められる場合には、利用に際して以下の通り翻訳、編曲、変形、翻案が行えます。

ア 私的使用のための複製(第30条第1項)、検定教科書等への掲載(第33条第1項)、学校教育番組の作成のための複製(第34条第1項)、教育機関での複製(第35条)については、翻訳、編曲、変形、翻案
イ 図書館等における複製サービス(第31条第1号)、引用(第32条)、試験問題としての複製(第36条)、点字および盲人用録音テープへの複製(第37条)、時事論説の転載等(第39条第1項)、公開演説等の報道的利用(第40条第2項)、時事の事件の報道のための利用(第41条)、司法・立法・行政目的の複製(第42条)については翻訳
ウ リアルタイム字幕の作成(第37条の2)については翻案(要約に限る)

 
≪翻訳権≫
 二次的著作物の創作権(第27条)の一つです。この権利は、ある著作物に創作性を加えて別の著作物を作る権利のことをいいますが、その行為の中で、ある言語で作成された著作物を別の言語で表現することに関する権利を翻訳権といいます。
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【み】
≪民事の対抗措置≫
@ 損害賠償請求
   故意又は過失により他人の権利を侵害した者に対して,侵害を被った者は,侵害による損害の賠償を請求することができます(民法第709条)。侵害を被った者は損害の額を立証しなければなりませんが,著作権法では、それを軽減するために,侵害による損害額の「推定」ができる規定が設けられています(第114条)。

A 差止請求
   著作権の侵害を受けた者は,侵害をした者に対して,「侵害行為の停止」を求めることができます。また,侵害のおそれがある場合には,「予防措置」を求めることができます(第112条,第116条)。

B 不当利得返還請求
   他人の権利を侵害することにより,利益を受けた者に対して,侵害を被った者は,侵害者が侵害の事実を知らなかった場合には,その利益が残っている範囲での額を,知っていた場合には,利益に利息を付した額を,それぞれ請求することができます(民法第703条,第704条)。
   例えば,自分で創作した物語を無断で出版された場合,その出版物の売上分などの返還を請求できます。

C 名誉回復等の措置の請求
   著作者又は実演家は,侵害者に対して,著作者等としての「名誉・声望を回復するための措置」を請求することができます(第115条,第116条)。
   例えば,小説を無断で改ざんして出版されたような場合,新聞紙上などに謝罪文を掲載させるなどの措置がこれに当たります。


【む】
≪無方式主義≫
 権利の享有に際し、登録、作品の納入(納本)、権利の表示といった、いかなる方式も必要としないという原則のことです。
≪無名の著作物≫
 著作物が公表された際に著作者名の表示がない著作物のことをいいます。
≪無名又は変名の著作物の保護期間≫
 著作物の原則的保護期間は、著作者の死後50年までですが、無名又は変名(雅号、筆名、略称等)の著作物については、著作者の特定が出来ないため、公表後50年(死後50年経過が明らかであれば,その時点まで)までです(第52条)。ただし、変名の場合であっても、広く一般に周知されて名前と顔が一致するような変名の場合は原則に戻って死後50年まで保護されます。また、保護期間中に、実名の登録(第75条)が行われた場合や改めて実名で公表し直した場合についても原則に戻ります(第52条第2項)。
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【ゆ】
≪有線放送≫
 公衆送信のうち、公衆によって同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信をいいます(第2条第1項第9の2号)。音楽有線放送、CATVなどが該当します。
≪有線放送権≫
 有線放送とは、公衆(不特定又は特定多数の者)に直接受信されることを目的とした無線又は有線の送信である「公衆送信」のうち、公衆によって同一の内容が同時に受信されることを目的として行われる有線による送信のことをいい、例えばCATV、音楽有線放送がこれに該当します。一般にこの有線放送に関する権利を有線放送権と言っていますが、保護対象によって権利の定め方又は内容が異なります。具体的には、著作者の場合は、公衆送信権(第23条)の一部分という位置づけです。実演家の場合は、有線放送権(第91条)、放送事業者の場合は、有線放送権(第99条、放送を受信して有線放送する権利)、有線放送事業者は、再有線放送権(第100条の3、有線放送を受信して再有線放送する権利)になりますが、レコード製作者ついては、有線放送権は認められていません。 
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【り】
≪利用の許諾≫
 著作権者や著作隣接権者が、第三者に、著作物等の利用の了解を与えることをいいます(第63条)。この利用の許諾は、通常は著作権者と利用者が、著作物利用に関して締結する「利用許諾契約」により認められ、利用者は契約で認められた利用方法や条件の範囲内で著作物等を利用することが出来ます。なお、当該著作物を利用する権利は、著作権者等の了解を得ない限り、譲渡することは出来ません。 

【れ】
≪レコード≫
 音(著作物に限らない)を最初に固定(録音)したもの(いわゆる「原盤」のこと)で,媒体は問わないので,CD,テープ,パソコンのハードディスクなどに録音された場合でも,レコードとなります(第2条第1項第5号)。なお,市販を目的としたレコード(原盤)の複製物(市販されている音楽CDなど)のことを「商業用レコード」と言います(第2条第1項第7号)。 
≪レコード製作者≫
 ある音を最初に固定(録音)して原盤(レコード)を作った者のことをいいます(第2条第1項第6号)。
≪レコード製作者の権利≫
 レコード製作者の権利にも,実演家の「財産権」と同様に,「許諾権」と「報酬請求権」があります。

 「許諾権」は,他人が無断で利用(録音・録画やインターネット送信など)することを止めることができる権利です。

 また,使用料などの条件を付けて他人が利用(録音・録画やインターネット送信など)することを認めることもできる権利です。

 これに対して「報酬請求権」は,他人が利用することを止めることはできませんが,利用(放送・有線放送,レンタル)した者に使用料(報酬)を請求できる権利です。

 許諾権としては、複製権(無断で複製されない権利)(第96条)、送信可能化権(無断で送信可能化されない権利)(第96条の2)、譲渡権(無断で公衆に譲渡されない権利)(第97条の2)、貸与権(無断で公衆に貸与されない権利、レコードの発売後1年間に限る)(第97条の3第1項)があり、また報酬請求権として、CD等の「放送」「有線放送」「レンタル」について使用料を請求できる権利(第97条)があります。権利内容の詳細については、文化庁ホームページに掲載されてある著作権テキストを参照してください。
<許諾権>

ア 複製権(無断で複製されない権利)

 レコードをコピー(複製)することに関する権利です(第96条)。
  音楽CDなどをコピーする場合には,「著作者」である作詞家,作曲家,実演家だけでなく,原盤を作成した「レコード製作者」の了解も必要となります。
また,CDなどによる放送などを受信して,その音を録音することも含まれます。

イ 送信可能化権(無断で送信可能化されない権利)

 レコードを,サーバー等の「自動公衆送信装置」に「蓄積」「入力」することにより,「受信者からのアクセスがあり次第『送信』され得る」状態に置くことに関する権利です(第96条の2)。
  「入力」による送信可能化とは「自動公衆送信装置への蓄積(コピー)」を伴わない場合であり,レコードを,いわゆる「ウェブキャスト」「インターネット放送」などによって(サーバー等を通じて)そのまま流す場合です。

ウ 譲渡権(無断で公衆に譲渡されない権利)

 CDなどを公衆向けに譲渡することに関する権利です(第97条の2)。
  この権利は,著作者の譲渡権の場合と同様に,いったん適法に譲渡されたCDなどについてはなくなりますので,購入したCDなどの転売は自由です。

≪レコードの保護期間≫
 著作隣接権の対象としてのレコードの保護期間は、「その音を最初に固定した時」に始まり、「レコードの発行(販売等)が行われた日の属する年の翌年から起算して50年を経過した時」をもって満了します(第101条)。例えば2005年2月1日に発行されたレコードについては、2005年に50年を加えた2055年の12月31日まで保護されます。

【ろ】
≪録音≫
 音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいいます(第2条第1項第13号)。
≪録音権≫
 複製権の一つで(第21条、第96条、第98条、第100条の2)、実演家の場合については、複製の形態に鑑み、著作権法上も録音権(第91条)と定めてあります。録音とは、音を物に固定し、又はその固定物を増製することをいい(第2条第1項第13号)、影像を連続的に物に固定する録画とは区別されます(第2条第1項第14号)。
≪録画≫
 影像を連続して物に固定し、又はその固定物を増製することをいいます(第2条第1項第14号)。
≪録音権≫
 複製権の一つで(第21条、第96条、第98条、第100条の2)、実演家の場合については、複製の形態に鑑み、著作権法上も録画権(第91条)と定めてあります。録画とは、影像を連続的に物に固定し、又はその固定物を増製することをいい(第2条第1項第14号)、音を物に固定する録音とは区別されます(第2条第1項第13号)。
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【わ】
≪ワンチャンス主義≫
 実演家の著作隣接権の一つに録音権・録画権がありますが、この権利は、映画の製作時に、自分の実演を録音・録画することを了解した場合には、以後その実演を利用することについて原則として権利が及びません(第91条)。したがって、映画に出演する俳優は、最初の出演契約の際に、例えば映画の二次利用(DVD化、CS等への販売等)について、追加の報酬等の条件などを取り決めておかないと、自分たちの利益を確保できないという意味でワンチャンス主義という言葉が使われています。
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